フルバック通信

フルバック通信 第167号(2022/09/12)
1.インボイス制度、準備できていますか?

在宅が増えて体重も増えてしまいました。服部です。ご無沙汰しております。

ここのところ伝道師のように注意喚起しているのですが、2023年10月から始まるインボイス制度はご存じでしょうか?

インボイス(適格請求書)という命名から、請求書の様式にインボイス番号(適格請求書発行事業者番号)を載せればいいだけ、と思っていらっしゃる方が多いと思います。

私もちょっと前までは、番号も取得しているし、自社の請求書様式も変更しているので、これでOK! と思っていました。

ところが、このインボイス制度というのは、請求する側よりも、むしろ請求される側として事前準備をしっかりやっておかないと大変ということに気が付きました。

そもそもインボイス制度というのは、消費税の納税を漏れなく適性に実施するために生まれた制度です。
消費税は請求するときに売上金額の10%/8%を乗せて請求を行ないますが、この時に得た消費税額はあくまで預かり金であり、後日納税する必要があります。
その時には、得た消費税額を全額納税するのではなく、自身が請求される側(仕入側)として支払った消費税額を控除して差し引いた額を納税します。

例えば、100万円の商品を売り、消費税10万円を得たとして、その商品を仕入れた時には80万円 + 消費税 8万円支払ったとします。この場合は、売上分10万円から仕入分の8万円を控除して、差し引き2万円の消費税を納税することになります。
ところが、仕入業者が適格請求書になっていない請求書で請求してきた場合、8万円の控除は認められず、10万円を納税することになってしまいます(厳密にはいきなり全額非控除になるわけでなく、段階的に控除率が変化していきます)。

ということで、仕入業者さんが来年の10月からちゃんと適格請求書で請求してこないと、自社の納税額が増えてしまいます。これを避けるために事前に仕入業者さんに「準備できていますか?」と確認しておく必要があるわけです。

ところが、中には適格請求書発行事業者になれない業者さんも存在します。売上1000万円未満の「免税事業者」という存在です。
うちはそういう会社と付き合いがないから大丈夫!
そんな風に思ったかもしれませんが、例えば個人事業者、フリーランス、農作物生産者、ハンドメイド作家など、実は世の中の事業者の6割は免税事業者です。取引している事業者の中に、本当に免税事業者はいないか、今一度洗い出して確認することを強くオススメします。

じゃあ、そのような人たちとは取引を止めればいいのではないか?
それはある意味正解ですが、そういった方々がいないと商売が成り立たない場合もあるでしょう。また、適格請求書を発行できないことを理由に取引を中止することは、独禁法や下請け法で禁止されています。

そもそも、免税事業者が消費税を乗せて請求してくるのがダメなんじゃ?
そう思うかもしれませんが、実はこの部分についての決まりはなく、取引業者間で定めなさい、というのが国の指針となっています。
(ちなみに、免税事業者は消費税を納税してはいませんが、物品購入時には消費税を支払っていますので、100%得をしているわけではありません)

ということで、こういった場合への準備として、仕入先に免税事業者はいないかを確認し、 いた場合は、例えばインボイス制度開始後の取引金額の変更をお願いするなど、あらかじめ取り決めをしておかないと、いざ始まったら混乱することは必至です。

ですので、来たるインボイス制度スタートに向けて、やらなければならないことは2つ。
1つ目は、請求する側として、このインボイス制度の登録申請。
申請自体は昨年の納税証明さえあればできますので、インボイス制度に適合した請求書は現時点では不要です。来年3月が締め切りですので申請だけでも早いところやっちゃいましょう。
それから2つ目は、請求される側として、仕入先に免税事業者はいないかの確認と、さらに免税事業者がいた場合にはインボイス制度開始後の取引の取り決め。
この2つは必ずするようにお願いいたします。

最後に。
弊社のTEMANAXというクラウドシステムは適格請求書対応はもちろんのこと、さらに翌年始まる電磁記録法にも対応しておりますので、ご興味がある方は弊社営業までご相談ください。

ということで、たまには製品アピールもしてみました。長文失礼いたしました。(服部)